2020-07-11
【ウエディングドレスのクリーニング方法の種類】
前撮りや結婚式、後撮りなどの使用によって一見汚れがない様に見える状態でもウエディングドレスには様々な汚れや顕在化していないシミなどが生地に付着しています。こうした目視で判断できないものは時間の経過と共に黄ばみなどの原因に繋がりますのでクリーニングは一定時間利用した場合は行っておいた方が安心です。クリーニングの方法は実は色々な方法があります。まずはドレスの内側に付いている取り扱い表示のタグを参考にしながら専門のスタッフが生地、デザイン、使用状況などから総合的に判断してそれぞれのドレスに一番最適なクリーニング方法を選んで作業を行っていきます。クリーニング方法は主に下記の方法があります。普通、こうした内容のものは「ドライクリーニング」と「水洗い」の2つ位しか書かれない事が多くありますが、今回は最新版としてもっと細かく振り分けてクリーニング方法についてご紹介したいと思います。
①ドライ(石油系)クリーニング・・・繊維に負担がかかりにくいクリーニング方法で、特徴としては油性系の汚れの除去に強く水溶性の汚れの除去に弱いという特性があります。シルク素材のドレスや装飾の多いカラードレスに対してよく行われる方法です。
②水洗いクリーニング・・・機械式の洗浄機を使用して水と洗剤でクリーニングする方法です。特徴としては水溶性の汚れの除去に強く、汗ジミの成分も除去出来ます。ポリエステルやナイロン素材で構成されていて汚れが多いドレスに対して行われる方法です。油性の汚れにも一定効果を発揮できる洗剤を合わせて使用する事でドライクリーニングに近い位の油性処理能力も併せ持つ事も可能ですが、シルク素材は収縮や繊維の折れた状態のシワが生じてしまったり、カラードレスでは洗浄力が強いと染色された柄の色落ちのリスクなどもあるので対応出来る素材と出来ない素材がはっきり分かれます。
③ハイブリッドクリーニング・・・ドライクリーニングと水洗いクリーニングを別工程で行うクリーニングです(いわゆるダブル洗い)。水洗いクリーニングが可能な素材のドレスでファンデーションの汚れが多く、汗と混ざって生地に刷り込まれた状態になっているものやアスファルトの道路などの汚れが多く裾に付いてしまっているもの(排気ガスやスス汚れは特性としては油性の汚れに近いものです。)に対して行います。油性も水溶性も一番強力な方法で除去対応が出来るのが特徴です。工程の順番ですが最初にドライクリーニングを行ってから水洗いを行います。「ドライ(石油系)→水」この順番はクリーニングも部分染み抜きでも一番守らなければならないポイントです。生地への汚れの付いてる順番は水溶性、油性の汚れと積み重なっていくのが基本の汚れの断面図ですのでその順番に上から汚れを除去していく必要がある為です。ただし、普通に水洗いも加わる工程の為シルク素材には出来ないクリーニング方法となります。
④着物用ドライクリーニング・・・シルクのカラードレスで耐色堅牢度の低いものに行う方法です。一般的なドライクリーニングにはソープと呼ばれる特別な洗剤を微妙な配合コントロールする事で汚れ落ちの向上を図っていますが、この洗剤の効果で染色が弱いものはクリーニングで色落ちしてしまうケースがあります。こうしたリスクを避ける為に一般的に留袖や振袖の丸洗いの時に行うドライクリーニング方式をドレスクリーニングに応用する事で色落ちのリスクを抑える方法です。基本的に丸洗いで汚れを落とすのではなく、汚れの場所に対しての前処理と呼ばれる事前に染み抜きに近い洗浄で予めおおまかな汚れを落としてからこのクリーニング方法で全体をすすぐといったイメージです。
⑤部分処理クリーニング・・・ドライクリーニングでも水洗いでも着物用ドライクリーニングでも簡単に剥離してしまう様な接着パーツの素材が沢山付いたものは残念ながら丸洗いが難しいものもあります。こうしたドレスには丸洗い方式はとらずに汚れが一番多く付着している場所を中心に各所をピンポイントで染み抜きや部分洗浄していく方式です。又、ビンテージドレスと呼ばれる年数が経過したドレスは繊維の自然劣化が進んでいる所から全体クリーニングで破れたり生地がボロボロになる事もありますのでビンテージドレスも同様の方法で行います。丸洗い方式とは異なる方法ですのでお客様に解釈の誤解がない様、丁寧に説明の上作業のご了承を頂く対応が重要です。
【クリーニング前に聞きたい事は確認しておきましょう】
この様にウエディングドレスのクリーニングは実は皆様が考えている以上に様々な方法があり、それぞれのドレスに合わせてその都度方法は変わります。もしもクリーニングに出す予定のウエディングドレスがある場合で汚れが想定よりも多かったり、少し特殊な汚れやシミが付いてしまった可能性がある場合はクリーニング会社に状態などをお伝えしたうえでどの様な対応をしてもらえるかを確認した方がいいケースもあります。基本的にクリーニング会社に「お任せ」でもいいのですが、お任せゆえに汚れ除去重視で素材やデザインに合わないクリーニング方法をしてしまってドレスが使用出来ない状態になってしまうトラブル(収縮、除去出来ないシワの発生、破れ、柄や装飾の剥離など)になるケースもありますので気になる方はお任せの場合でもおおよそどの様なアプローチでクリーニングを行うかは確認しておいた方がいいかもしれません。
【ドレスクリーニング後に生じる不可抗力のリスクについて】
ウエディングドレスのクリーニングの工程が終了し、お手元にドレスが戻ってきたら基本的にはご自宅で保管になると思いますが、湿度の高い部屋(加湿器使用など、季節によって湿度が上がる場所も同様)や直射日光の当たらない場所であればそれほど保管中に重大な変化や損傷は現れる可能性は低いとお考え下さい。
(最低限の防虫剤は使用した方がいいかもしれません。手間を省くなら長期保存パックをすれば一番安心です。)
保管時に起こる不可抗力の変化としてはスパンコールの経年による変色、シルク素材での経年による色合いの変化の可能性やドライクリーニングベースで行ったドレスに残っていた水溶性のシミが時間の経過と共に浮き出てくるケースが考えられます。クリーニング作業時にはなかったシミなどや素材の経年変化などは少なからず生じる可能性があるという点は何卒ご了承下さい。(基本的に納品後の変化となりますのでほとんどのクリーニング会社では水溶性のシミの顕在化の改善については別途料金にて対応が基本になると思います。)
【まとめ】
ウエディングドレスクリーニングは専門の会社に任せた方がいいというのは、今回ご紹介した様にドレス一着一着によってそのクリーニング方法や作業の手順を経験に基づいて選んでいかなければならない難しさにあります。クリーニングの知識と技術はもちろんですが、ウエディングドレスについてのあらゆる事を熟知していなければなりません。皆様が今後ウエディングドレスのクリーニングを検討する際の基本の情報として少しでも今回の内容を心に留めて頂ければ幸いです。
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